資産運用

はじめてみよう!資産運用 <年代別の考え方とオススメ制度ご紹介>

生活していくのに大切な「お金」

今や銀行口座に預けていてもほとんど増えず、国を挙げて「お金に働いてもらう」ことをお勧めしている時代です。
上手に制度を利用して、老後まで安心して暮らせる資産形成を目指していきたいですね。

2001年の確定拠出年金や2014年のNISAをはじめとして、2000年代から続々と資産運用の非課税制度が国の省庁によって整えられてきました。どの制度がどの年代にマッチしているのか、制度内容を確認しながら考えましょう。

今回ピックアップする制度はこの3つ。

■ NISA

NISAとは、株式等に投資をし売却して得た利益や受け取った配当に対してかかる約20%の税金が非課税になる制度です。金融機関に「NISA口座(非課税口座)」をつくり、投資を行います。毎年120万円まで投資でき、投資後最長5年間の利益等が非課税になります。
NISAでの投資は2023年まで可能です。

■ つみたてNISA

2018年1月からスタートしたのがつみたてNISAで、少額から長期で積立ができる非課税制度です。投資できる金額は年間40万円まで、非課税期間は最長20年間とNISAの4倍の長さが特徴です。しかし投資可能な商品は、特定の投資信託に限られています。

■ iDeCo

iDeCoは、年金制度の一つである個人型確定拠出年金の愛称です。
制度改正により2017年1月から20歳以上60歳未満のほとんどの方が加入できるようになりました。拠出時、運用時、受取時と3段階の手厚い税制優遇が特徴です。
ただし受取額は拠出額と運用結果次第で原則60歳まで引き出しできないことも注意が必要です。

年代別のオススメ制度は?

20代:「オススメは断然iDeCo」

老後までたっぷり時間がある20代は、まさしく「お金に働いてもらう」のに適している年代。時間をかければかけるほど、運用の効果は高まる可能性があります。是非この年代からの加入をお勧めしたいのがiDeCoです。
会社員の方は働いている会社の企業年金をチェックして、ご自分の可能な拠出額を確認してみましょう。
会社が確定拠出年金を採用していれば活用しましょう。

税金の優遇もあり、しっかり将来を見据えられる確定拠出年金ですが、大きなデメリットは掛け金の払い出しが60歳までできないこと。ですので、60歳までに多くの方に訪れるであろう、結婚や子育て、住宅購入などのライフイベントへの備えには向きません。そこでiDeCoだけではなく、つみたてNISAを併用することによって、毎月少しずつ近い将来にもお金を積み立てていくのも良策です。

遠い将来に備えるお金と、比較的近い将来のお金を分けて運用、また近々必要なお金は貯蓄しておくなど、使う時期を分けて考えるのが安心への近道なのです。
30代~40代前半:「iDeCoを中心にNISAをうまく組み合わせて」

大きなライフイベントが目の前にあるこの時期、お金の使い方や状況がその方によって大きく違う時期でもあります。
まずは現状、いくらの資産があり、どんなライフイベントがこの先あるのかをよく考えてみましょう。
そして今の収入からどのくらいのお金を投資に回しても良いのかを見極めることも大事です。こういった現状を把握し、これから必要なお金の額を予測しながら計画を立てていくことをライフプランと呼びます。この時期、ライフプランを考えることは運用計画を立てるのに大いに役立ちます。

年収のうち、どのくらいを貯蓄に充てられる?運用には?
何年後にお金が必要か?
そこから運用計画を立ててみましょう。

基本的には、やはりiDeCoへの加入がおすすめです。今後の公的年金支給だけでは余裕のある老後設計は難しいと思われます。あとはまとまった、今は使わない余剰資金があればNISA、月々でコツコツ運用したいならつみたてNISAなど、その方に合った方法を見つけていきましょう。ここでの注意ですが、NISAとつみたてNISAは併用が不可なので慎重に考えましょう。

そして、運用にはリターンもあればリスクも生じることを忘れないようにしましょう。本当に近いうちに必要なお金は、定期預金などリスクをほぼ負わないようにする、運用するなら運用益ありきの資金計画を立てないように気をつけましょう。
40代後半~50代:「NISAの活用と、場合によっては投資をしない勇気も」

この年代では大きなライフイベントもひと段落し、あとは老後に備える準備という方も多いのではないでしょうか?

よく「リタイア時にいくらの貯蓄があれば大丈夫?」という質問があります。
2016年簡易生命表(厚生労働省)によると、65歳時点での平均余命(ある年齢の人々が平均してあと何年生きられるかいう期待値のこと)は男性19.55年、女性24.38年です。これは年々長くなってきていて、公的年金を支給される年齢からを「老後」とするとその期間は一般的にかなり長く、もはや65歳までに貯めておいてそこから切り崩して生活する、という考え方では安心できない時代になってきています。
つまり、ベストなのは老後の約20年間に少しずつでもお金に働いてもらうということなのです。

この時期の投資では、拠出時期が限られているiDeCoより、NISAの方がより適していると言えるでしょう。
NISAかつみたてNISAかについては、それぞれの特徴をよく考えて活用していきましょう。
非課税の期間を比較すると、NISAは非課税枠が最長5年で、投資可能な期間が2023年まで、つみたてNISAは20年の非課税枠があり、投資可能なのは2037年までです。つみたてNISAの方が長く非課税のメリットを受けることができます。お金の使い道、使う時期も着目して選びましょう。
それに、NISAはiDeCoとは違い、売却による引き出しが可能なので、ある程度柔軟に急な費用にも対応できますし、その分気軽に始めることもできますね。

しかし、投資をするのは、必要なお金以外、つまり余裕資金であることが大切です。
ライフプランによっては、今後も大きな出費が見込まれたりする場合もあるでしょう。

まずは、

・今後の出費を確かめる
・リタイア時期を検討し、収入は増やせるのか
・現在のお金の使い方を見直し、支出は減らせないか

を確認し、投資をすることが最良なのかを考えてみましょう。

その結果、余裕資金が少なく、今の貯蓄をそのまま守っていくことが良いという場合もあるでしょう。
無理をせず、投資をしないという選択もありえます。
この時期に再度お金の流れを見直し、計画を立て直すことはとても大事です。
長い老後に向けて具体的な方向が定まれば、より安心できますよね。

どの年代にも大事なのは10年後、20年後、その先・・・を想像し、計画することです。
ポジティブに目標を立て、将来への準備を始めていきたいですね。
この記事を書いたのは・・・
ファイナンシャルプランナー 林 陽子 先生

・林FP事務所専属ライフプランナーとして活動中
・ライフプラン相談実績多数

《 保有資格 》
・1級ファイナンシャル・プランニング技能士
・AFP(日本FP協会)
・住宅ローンアドバイザー

林FP事務所 [ https://xn--vck0b9h632vz0vb.jp/ ]