医療保険とは、病気やケガ、急な入院などに備えるための保険です。若いうちは病気になることも少ないため、「公的医療保険だけで十分」と考えている人も多いのではないでしょうか。
しかしながら、公的医療保険は保証の内容が十分ではないため、大きな病気などで入院した際には多額の自己負担が発生する可能性があります。そのため、万が一に備えて民間の医療保険への加入はかかすことができません。
しかし、「そもそも公的医療保険の保証内容について、詳しく知らない」「本当に公的医療保険だけでは不十分なの?」と疑問に思われる方もいるでしょう。今回は、公的医療保険の保証内容についておさらいするとともに、民間医療保険の基礎知識についてご紹介します。
公的医療保険について
病気でかかる費用の一部を国が負担してくれることはみなさんご存知かと思いますが、詳しい保証内容についてご存知でしょうか。ここでは公的医療保険の保証内容について詳しく解説していきます。
医療費の自己負担額
病気などでかかる医療費の自己負担額割合は以下の表の通りとなっています。年齢や所得によって自己負担割合が変わりますので、自分や自分の家族がどれに該当するのかみてみましょう。
小学校入学前 | 2割 |
小学校入学後~70歳未満 | 3割 |
70歳以上~75歳未満 | 2014年4月以降に70歳になった人は2割 2014年3月以前に70歳になっていた人は1割 現役並み所得者は3割 |
75歳以上 | 一般所得者は1割 現役並み所得者は3割 |
公的医療保険の分類
公的医療保険にはサラリーマンなどの会社員が加入する「健康保険」と、自営業者などが加入する「国民健康保険」などがあり、それぞれ保証内容が異なります。具体的にどのように分類ができるのか表をみてみましょう。
被用者保険 | 地域保健 | 後期高齢者 医療制度 |
||
健康保険 | 共済組合等 | 国民健康保険 | ||
対象者 | 会社員など | 公務員など | 自営業者・主婦など | 75歳以上の人(一定の場合は65歳以上) |
公的医療保険の保証内容
上で見た通り、公的医療保険はいくつかに分類できることが分かりました。加入している公的医療保険によって保証内容は異なりますので、ここでは最も多い「健康保険」と「国民健康保険」の保証内容の違いをみていきましょう。
健康保険 | 国民健康保険 | |
高額療養費 | ○ | ○ |
出産育児一時金 | ○ | ○ |
出産手当金 | ○ | × |
傷病手当金 | ○ | × |
死亡時 | ○ | ○ |
・高額療養費
一カ月の医療費の自己負担額が一定額を超えた場合、その超過額が請求に基づいて払い戻されます。自己負担の限度額は所得によって異なりますが、「健康保険」「国民健康保険」ともに保証がされています。
・出産育児一時金
被保険者もしくは被扶養者が出産した場合、一児につき42万円が支給されます。こちらも「健康保険」「国民健康保険」ともに保証がされています。
・出産手当金
被保険者が出産のため仕事を休み、十分な給料を受けられない場合に、出産前の42日から出産後の56日までの間、欠勤1日につき標準報酬日額の2/3が支給されます。こちらは「健康保険」の加入者のみ対象となっています。
・傷病手当金
こちらも「健康保険」の加入者のみが対象となっており、病気やケガで働けなかった場合に、休んだ日から4日目以降、1日につき月標準報酬日額の2/3が支給されます。
・死亡時
死亡時には「健康保険」の場合、埋葬費として5万円が支払われます。「国民健康保険」の場合は、所属している自治体により異なりますが、3~7万円程度が葬祭費として支払われます。
このように公的医療保険は勤務先などにより保証内容が異なります。自分が加入している公的医療保険の保証内容を確認することで、どのような保証が自分に足りていないか分かるため、民間の医療保険を選ぶ際の指針になります。
医療保険の基礎知識
公的医療保険についてのおさらいをしたところで、次は医療保険の基礎知識について説明します。
主契約と特約
医療保険は主に、主契約と特約の2つによって構成されています。
・主契約
主契約は、医療保険のベースとなる契約です。「入院」と「手術」が主な保証内容となっており、入院給付金や手術手当金を受け取ることができます。
【入院給付金】
入院給付金は一日につき五千円や一万円などあらかじめ決めた金額を、入院の日数に応じて受け取ることができるものです。契約の内容によって、受け取ることができる入院限度日数が決められています。入院の初日から受け取ることができる場合と、入院○日目以降から受け取ることができる場合の二種類がありますので、契約の際はきちんと確認しておきましょう。
【手術給付金】
手術給付金は手術が行われた際に受け取ることができる給付金です。給付金の金額は、手術の種類により「一回○円」のように決められている場合と、「入院給付金の○倍」のように決められている場合があります。
・特約
特約は主契約に上乗せするオプション部分のことです。特約には様々な種類があり、オプションを追加することで保証を厚くすることができますが、上乗せし過ぎるとその分保険料も高くなりますので、自分に必要なものだけを選びましょう。また、特約の保証期間なども注意しておく必要があります。具体的には次のようなものがあります。
特約の種類 | 内容 |
通院特約 | 退院後に、その病気の治療を目的として通院した場合に給付金を受け取ることができる |
先進医療特約 | 先進医療の治療を受けたとき自己負担分が保障される |
女性疾病入院特約 | 乳がんや子宮筋腫など女性特有の病気で入院した場合に、入院給付金や入院限度日数が上乗せされる |
三大疾病特約 | 三大疾病(がん・急性心筋梗塞・脳卒中)で入院した場合に、入院給付金や入院限度日数が上乗せされる |
掛け捨て型と貯蓄型
医療保険は、「掛け捨て型」と「貯蓄型」の2種類に分けることができます。それぞれの特徴やメリット・デメリットをみてみましょう。
・掛け捨て型の医療保険
掛け捨て型の医療保険は、保険期間中に解約しても解約返戻金がありません。支払った保険料が戻ってくることがないため「掛け捨て」と呼ばれています。掛け捨て型の医療保険は、同じ保証内容であれば貯蓄型の医療保険より保険料が安いため、軽い負担で病気やケガに備えることができます。
近年では、医療保険は掛け捨て型が主流となっています。商品数も多いため、選択肢を増やすことができるのもメリットです。
メリット | デメリット |
・保険料が安い ・商品数が多いため選択肢が広がる |
・掛け捨てのため解約返戻金がない |
・貯蓄型の医療保険
貯蓄型の医療保険は、名前の通り貯蓄性を備えた医療保険です。貯蓄型の医療保険には、一定年齢まで継続して加入するとそれまで支払った保険料の総額が戻ってくるタイプや、加入後の一定期間ごとにボーナスが受け取れるタイプ、解約した時に決められた解約返戻金が受け取れるタイプなどがあります。
貯蓄型の医療保険は、掛け捨て型の医療保険と比較して毎月の保険料は高額になります。貯蓄型の医療保険は掛け捨て型と比べ加入する人が少ないため、商品数も少ないですが、貯蓄の代わりにもなるため、毎月の貯金ができない人にはオススメです。
メリット | デメリット |
・解約返戻金を受け取ることができる | ・保険料が高い ・商品数が少ない |
終身型医療保険と定期型医療保険
掛け捨ての医療保険はさらに終身型と定期型の二種類に分けることができます。それぞれ保険料や保証内容が異なりますので、終身型と定期型、どちらが自分に合っているのかを確認してみましょう。
・終身型医療保険
終身型医療保険は、保証が一生涯続き、保険料も変わらない医療保険です。保険料の支払い方は、一生涯支払い続ける終身払いタイプと、決められた年齢で払い終わるタイプがあります。
メリット | デメリット |
・保障が一生涯続くため安心 ・保険料が途中でアップすることがない |
・保険を見直す機会が少なくなりがちなため、そのときの医療の状況に合った保険でなくなる可能性がある |
・定期型医療保険
定期型医療保険は、10年など、契約時に決めた一定の期間で契約が終了する医療保険です。通常は契約が終了すると自動更新されます。
メリット | デメリット |
・決められた期間内での契約のため、終身型と比較して保険料が低い ・その時々の医療の状況や自分の状態に合わせて保険の乗り換えや切り替えがしやすい |
・年齢があがると保険料も高くなる ・一生涯の保証を得ることができない |
まとめ
今回は、公的医療保険と民間の医療保険の基礎知識についてまとめてみました。医療保険を選ぶ際にはまず、自分が加入している公的医療保険の保証内容を確認することが大切です。
医療保険にも様々な種類があるため。まずは「掛け捨て型」と「貯蓄型」どちらが自分のニーズに合っているのかいろいろな商品を比較・検討してみることをオススメします。