「投資って、損をしそうで何だかコワイ」
「儲けることばかりを考える投資家は性格が悪そう」
などと思う人も多いでしょう。
たしかに投資は、損をすることもあります。また、投資家は「どうやって儲けるか」を日夜考えることも事実です。
しかし、投資は、ただ「儲かった」「損をした」というだけのことではありません。奥が深い世界で試行錯誤するうちに自分の成長を実感でき、リスクやデメリットも含めて楽しめる大きな魅力があるものです。
今回は、投資歴5年の筆者(37歳・男性)の経験をもとに考える投資の魅力、および英文学者 外山滋比古さんが語る投資の魅力についてご紹介しましょう。
投資の魅力とは?
投資の魅力とは、どのようなものでしょう? 筆者の経験をもとに以下の5つをあげてみました。
投資の魅力としてまずあげられることは、社会や経済に対して興味がわくことだと思います。筆者は、投資をはじめる以前はテレビのニュース番組などはほとんど見ることがありませんでした。ところが、投資をはじめてから、テレビのニュース番組を欠かさず見るのはもちろんのこと、本や雑誌なども購入して会社や経済の仕組み、国際政治の動向などを勉強するようになりました。
投資商品の値動きは、社会や経済の状況のちょっとした変化に影響されます。自分の保有している投資商品の値動きですから、社会や経済の動きも他人事ではなくなります。
投資をはじめてすぐのうちは、よくわからないながらもとりあえず投資商品を購入し、儲かるも損をするも運に任せているだけでした。しかし、そのうち自分なりに戦略を考え、例えば株式投資なら、「この会社がはじめようとしているサービスはきっと人気がでるから株を買ってみよう」などと自分で戦略を立てられるようになります。
戦略に基づいて投資商品を購入し、戦略が当たれば儲かり、外れれば損をします。戦略が当たって儲かったときの達成感はかなりのもので、それが時々あるだけで、損をしているときの苦労はすべて忘れることができます。
サラリーマンなどをしていると、自分が思った通りのことができる機会はそう多くはないでしょう。そういう意味で、あくまで自己責任の世界とはなりますが、投資は大きなストレス発散効果があるといえると思います。
いうまでもないことですが、投資はそう簡単に儲けられるものではありません。プロのトレーダーであっても100%儲けられるわけではなく、ときには損をすることもあります。しかし、「簡単ではないからこそおもしろい」といえるのだと思います
投資商品の値動きは、社会や経済の動きそのものを反映します。また、投資で儲けるためには自分なりの戦略も必要です。社会や経済の動きを勉強して知識を増やし、よく考えることにより戦略を身につけていく……。そうして経験値が上がっていくことにより、徐々に儲けられるようになっていきます。
投資の世界は本当に奥が深いです。だからこそ、「本当の面白さ」があるのだと思います。
投資を続けていくと、知識が増え、戦略が考えられるようになるとともに、お金も徐々にではあっても増えていきます。お金が増えれば、購入できる投資商品の種類が増えるなどして、できることの幅が広がります。
投資をはじめた頃はまったくできなかったことが、1年、2年と経つうちに、「あ、これもできるようになった」「あれもできるようになった」となっていきます。そのように、自分の成長を実感として感じられることも、投資の魅力だと思います。
そして何より、投資を続けることにより、資産は徐々に増えていきます。筆者の場合、はじめてまだ5年ですので、資産はそう大きく増えたわけではありません。しかし、「このまま投資を続ければ、5年後、10年後には、このくらいには資産を増やせるだろう」と将来に希望を持つことができます。
例えば、宝くじを買ったとして、「当たるかもしれない」と希望を持ってワクワクできるのは抽選日までの数週間程度でしょう。それに対して投資では、5年、10年と長い期間にわたって希望を持ち続けることできます。このことこそ、投資の最大の魅力だと筆者はつねづね思っています。
英文学者・外山滋比古さんが語る「投資の魅力」
『日本の億万投資家名鑑 必勝編』(日経ホームマガジン)に、英文学者 外山滋比古さん(1923年生まれ、お茶の水女子大学名誉教授)が「投資の魅力」について語っています。「なるほど」とうなずけることが数多くありますので、ここでいくつかのポイントをご紹介しましょう。
「株は上質なギャンブル」
個別株式に対する投資を60年以上続けている外山さんは、「株は上質なギャンブル」だと語ります。旅行などで100万円とか200万円とかを使うより、「株式投資を続けて一喜一憂を長く楽しんだ方がいい」といいます。投資が「楽しかった」と思えれば、旅行でお金を使ったことと同じなので、それで損を出しても後悔することはないというわけです。
株式投資は、競輪や競馬と比較して確率が高いうえ、負けたら何も残らない競輪や競馬と対照的に、会社が潰れない限り株式の価値がゼロになることはありません。信用取引に手を出さず、あくまで現物取引だけを行えば、「借金を背負って破綻することもない」と外山さんはいいます。
ただし、「投資は持っているお金の3分の1までに留めることが重要」だと外山さんは強調します。3分の1は生活費、次の3分の1は「もしも」のためにとっておき、残りの3分の1で投資をすれば、仮に投資の資金がゼロになっても生活に支障をきたすことはないからです。
「儲けは偶然の産物」
「『儲けよう』という気持ちがあまりなくなると、逆に儲かるようになる」と外山さんはいいます。株式は配当金がありますから、値上がりしなくても「貯金するよりは少しマシ」でしょう。そう思って投資をすると、「案外とびっくりするような儲けがでる」とのことです。
びっくりするほど儲かった株をどうしてつかんだのかについて、外山さんは「偶然です」と言い切ります。運が悪ければどんなに努力しても損をするし、逆に運がよければいい加減でも儲かる。しかし、ある程度損をすることを覚悟し、また損をするからこそ、「儲けたときにおもしろい」のだといいます。
ただし、健全に投資を続ければ、「損して儲けて、儲けて損をして」をくり返し、「だいたいはトントンになるのが普通」で「大きなマイナスになるとは考えにくい」。したがって、「株式投資はわりと安全なギャンブルです」と、外山さんは語ります。
「好きな株を選ぶのが基本だが銘柄に惚れ込むのは禁物」
損をしても我慢できるのは、「好きな株を買うからだ」と外山さんはいいます。人から「この株は儲かる」と言われて買い、実際に儲からなかったら誰でも「だまされた」と怒るでしょう。しかし、自分が好きになって信じて買った株で思い通りにならずに損をしても、「偶然の産物だからあきらめるしかない」からです。
ただし、「特定の銘柄に惚れ込みすぎるのは禁物」と外山さんは指摘します。少なくとも10~15銘柄は持ち、「こっちが青ならこちらは黒」「あっちが三角ならこっちは丸」のように色々と違ったものを選択すると、大きく損をすることはなくなると、外山さんは語っています。
まとめ
投資は、本当に魅力的な世界です。まだ未体験の人にはぜひ体験し、おもしろさを知ってほしいです。投資商品には様々な種類があり、少額で比較的リスクを小さく抑えながら投資できる商品もたくさんあります。まずは少額から投資を始めてみてはいかがでしょうか。