会社に勤めていると、多かれ少なかれ会社に対する不満というのは出てくるものです。
「どこの会社に勤めてもその会社への不満がある」
「提案を受け入れてもらえない」
「上司に管理されるのは嫌」
なかにはそれが耐えられず、定職に就けなかったり、職場を転々とする人もいます。
しかし今は、どんなことでもビジネスにできる時代。10代で起業する人もいます。「自分の思い通りに働きたい!」という人は起業するのも1つの選択です。
この記事では、起業する人の年齢、起業のための資金調達方法、および起業に必要な知識やスキルについて解説します。
起業する人の年齢は?
起業するには、何歳くらいが最適なのでしょうか? 「起業したい」という気持ちはあっても、「自分の年齢では早すぎるのでは?」または「遅すぎるかも?」と思う人もいるでしょう。ここでは、起業家の年齢構成と平均年齢の推移、学生の起業意識の推移をみてみましょう。
中小企業庁が発行した『2017年度版 小規模企業白書』によれば、例えば2012年に起業した人の年齢構成は、
男性 | 女性 | |
---|---|---|
39歳以下 | 30.7% | 43.4% |
40~49歳 | 17.5% | 21.2% |
50~59歳 | 16.8% | 15.0% |
60歳以上 | 35.0% | 20.3% |
となっていて、起業する人はさまざまな年齢層に渡ることがこのデータからわかります。
特に、1979年と比較すると、60歳以上で起業する人が男性は8.4%→35.0%、女性は4.6%→20.3%と、4倍以上に増えています。このことから、少なくとも起業に”遅すぎる”ということはないといえるでしょう。
60歳以上で起業する人が増えていることから、起業する人の平均年齢も上昇傾向で推移しています。起業する男性の平均年齢は、1979年に40.4歳であったものが、2012年には49.7歳になっています。また、女性の場合も37.1歳から44.7歳に上昇しています。
上のデータでは、高年齢層の人たちが積極的に起業する傾向がみえました。それでは、若い人は起業に消極的なのかといえば、そんなことはありません。
2012年において、起業を希望している人のうち在学中の学生の割合は4.2%です。この割合は、1979年の2.9%から上昇しています。また、実際に起業準備に入っている人のうち学生の割合は3.1%で、これも2.8%から上昇傾向にあります。
株式会社日本政策金融公庫では、2013年度から毎年「高校生ビジネス・グランプリ」を開催し、起業のためのビジネスプランを募集しています。この応募件数が、2013年度には1,546件だったものが2016年度には2,662件へと増加しています。
これらをみると、高年齢層だけではなく、若年層の起業意識も高まっているということがわかります。
起業するための資金調達の方法
起業するためには資金がなくてはなりません。起業するにあたっての資金調達にはどのような方法があるのかをみていきましょう。
「事業資金を調達する」というと、銀行を思い浮かべることも多いでしょう。しかし、会社の設立にあたって大手銀行はまず融資を行いません。信用が不安視されるからです。したがって、起業時は銀行からの融資には頼れません。
信用金庫からの融資は銀行よりもハードルが低いといわれています。それでも、起業にあたって融資を実行する信用金庫は少ないため、起業から一定期間たった頃にトライするのが良いでしょう。
制度融資とは、公的機関である信用保証協会が信用保証をつけることにより、民間金融機関からの融資を受けやすくし、小規模事業者の金融を円滑化することを目的に設けられている制度です。信用保証協会は、全国47都道府県および横浜・川崎・名古屋・岐阜・大阪の5市にあり、行政が信用保証の斡旋をし、さらに利息や保証料の一部を行政が負担することもあります。
上限3,000万円の融資を長期(7年~10年)で、連帯保証人・担保なしに受けられますので、起業の際にはこちらを検討するのがいいでしょう。各行政は相談窓口を設けていますので、まずは相談してみるのがおすすめです。地元の商工会議所も相談に乗ってくれることがありますので、一度調べてみましょう。
日本政策金融公庫は財務省が管轄の特殊会社で、さまざまな金融業務を行います。国民生活事業では、小規模事業者に対する貸付を行っていますので、起業にあたっての融資を受けられる可能性があります。
上限は1,000万円で、設備投資は15年間、運転資金は5年間での融資を無担保・無保証で受けられます。融資を受けられるかどうかは、事業計画や自己資金などを考え合わせて決定されます。
マル経融資はやはり日本政策金融公庫によるものですが、商工会議所の推薦によって受けることができるものです。融資を受けるためには1年以上の事業実績が必要ですので、起業の際の資金調達には向きませんが、金利が非常に低い(2018年8月現在で年利1.11%)ため、起業時に受けた融資の借り換えをするために使用するのがおすすめです。
総合すると、制度融資や公庫融資による資金調達で起業し、1年後にマル経融資に借り換えをするのが、起業のための資金調達の仕方としておすすめといえるでしょう。
起業に必要となる知識やスキル
起業をするためには、それなりの知識やスキルが必要です。どのような知識やスキルが必要なのかをみていきましょう。
マーケティングとは、ビジネスの対象とする市場(顧客)をどこに定め、どのような商品やサービスを提供していくかを分析・検討することです。提供する商品・サービスは顧客のニーズに適っており、また競合他社の商品・サービスとの差別化が図られていなくてはなりません。
起業してしばらくは、お金の管理を自分でしなければならないことが多いでしょう。最低限の会計・経理の知識は身につけ、損益計算書、賃借対照表は作成できるようにしておきましょう。
ITの活用は、広告・販売戦略を考えるうえで欠かせないものとなっています。メールやSNSの使用はもちろんのこと、WordPressを使用したホームページの立ち上げなどもできるようにしておくことがおすすめです。
事業が拡大していけば、社員も増え、会社の組織も大きくなります。社長として組織を運営していくうえで、社員にインセンティブを与えながら組織を活性化していくマネジメントの方法は、あらかじめ勉強しておく必要があるでしょう。
ビジネスは一人で行うことはできません。社員や顧客、投資家などとの緊密なコミュニケーションのなかで行われていくものです。大学やアルバイト、同窓会、講演会、サークル活動、ボランティアなどに積極的に参加し、起業に協力してくれる人を見つけましょう。合わせて、人から魅力的に映るような人間性も、磨いておくことが重要でしょう。
まとめ
起業する人の年齢は、高年齢層の人が増えている傾向がありますが、学生の起業意識も高まっており、起業に「早すぎる」または「遅すぎる」ことはないといえるでしょう。起業するにあたっての資金調達の方法は、さまざまなものがありますので、自分に合ったものを選びましょう。
また、定年後に、第2の人生として起業する方もいます。先を見据えて、資産運用などで自己資金を増やしておくのも1つの方法といえます。
「自分の思い通りに働きたい」という気持ちをしっかりと持ち続ければ、きっと起業を成功させることができるはずです。